自律神経からの不調、慢性の痛みに特化!変化を見える化し、納得感のある施術を提供します(1/3)

鍼灸のあいまいな部分を、皆さんが納得できるものにしたい

 WHO(世界保健機構)は、不眠や神経痛、腰痛、婦人科系などたくさんの症状に鍼灸は適応できるとしています。一方で、「体調がよくなったけど、鍼灸のおかげかどうかわからない」といった意見もあります。
 「鍼灸の技術と効果をあいまいなものではなく、科学的にしたいと考えます。視覚で理解できる、お客さまにとって納得感のある施術を目指しています」と話すのは、「マミ鍼灸院」の佐保田満美院長。特に得意としているのは、自律神経からくる不調へのアプローチで、神戸や山梨など遠方からも定期的にくるお客さまが何人もいることが、施術の満足度の高さを物語っています。

 佐保田さんが納得感のある施術にするために取り入れているは、施術の前後で自律神経の測定データを図にして見せることです。
「昭和時代に京都大学で確立された方法を、ライフスタイルが多様化した現代に合うように応用しています。グラフが丸に近ければ健康、不調があるとキノコ型になったりします。目で見えるから、鍼灸の効果にも納得できるといった声をいただきます。これは私のやりがいにもなっています」

 また、佐保田さんは、たくさんのお客さまに施術をする中で、現代人の健康問題は心と体が影響し合って起きていると実感したことで、研究のために大学院へ。現在、生理学や解剖学、そしてストレス関連の学びを深めているそうです。
 「科学的根拠に基づいた研究から、鍼灸で健康問題を改善するためのヒントを得ています。病院では病気じゃないと言われてしまうような不調や労働疲労に悩むお客さまの力にもなりたいです」 

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お客さまに真摯に寄り添い、悩みの緩和を目指す

 自律神経の不調から起きる悩みのひとつに、「眠れない」があります。眠れなければ免疫力が落ちます。佐保田さんは睡眠の悩みへのアプローチにも力を入れています。
「体が痛くて眠れない、とにかく眠れない…といった悩みをお持ちなら、ぜひ一度相談ください。不眠症といわれるようになる前の段階に鍼灸でケアできれば、悩みを長引かせずに済みます。もちろん、鍼灸は病院治療と併用できますよ」と呼びかけます。

 筋肉痛や疲労といった身近な悩みだけでなく、ストレスからの悩みを持つお客さまも積極的に受け入れているため、施術は完全予約制。1日最大4人を徹底しているそうです。
「お一人に1時間30から2時間かけます。肩こりに悩んでいるから肩をみる、ということはしません。私は必ず全身をみます。本人が気にしなかった要因に気づくこともあります。こうしないと結果はでないと考えています」
 そして、施術材料にはこだわり、日本製の鍼と電気医療機器、滋賀県の老舗のお灸、タイ直輸のハーブボール、ホットストーンなど、世界にある温熱療法にも目を向けているそうです。鍼灸と相乗効果を出せるものは積極的に取り入れることで、より高い効果を狙います。

 鍼灸院の中には、「1週間後に来てください」「はじめは高い頻度で来てください」といった“営業”をするところもあります。佐保田さんは、「マイペースで通ってもらう」ことも大切にしていると言います。
「心身の鍼灸ケアは、自分がやりたいと思ったときにやるのがベストだと思います。やりたいということは、体が欲しているということですから」と笑顔を見せます。 

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体の症状だけでなく心の在り方にも目を向けて、現代の健康問題に挑む

 年間、約1000人のお客さまに施術をこなす佐保田さん。「鍼灸師は天職ですね!」と言われることがよくあるそうです。
「これまで、いろんな仕事をしてきましたが、自分の意志というより、流れにそってきました。鍼灸師ははじめて自分でやりたいと思った仕事でした」と振り返ります。
旦那様の人材系の会社を手伝っていたとき、転職する場面で自律神経に不調をきたす人が多いことに佐保田さんは気づきました。統計からは、健康な人ほど前向きに進め、転職で成功する確率が高いことがわかったそうです。
「面接など大切な場面を迎える前に、転職者の皆さんが体を整えられたらいいなと強く思うようになっていきました。それで方法を探り、鍼灸にたどり着きました。実際に施術をすると、『あー楽になった』『その後、1週間調子がよかったです』といった方が出てきました。この仕事だ!と思いました」
今では、紹介でのお客さまがたくさんいらっしゃるそうです。
「都会のオアシスのように思って来てくださっているように感じています。うれしいですね」

 今後の目標は「『心身健康科学が土台の鍼灸』を組み立て、教えるための体制をつくること」
「鍼灸の技術を高めるのに古典を追いかける方法もありますが、私は、現代人の問題には心身相関の研究が効果的だと考えます。施術法を伝え、心身健康科学が土台の鍼灸を提供できる場を増やしたいです。アメリカ、ドイツ…など外国の方も私の施術に納得してくださっている例もあります。多くの方が求める施術法になるだろうと今から楽しみです」

(マイベストプロ 取材年月:2020年1月)